廣島つげ櫛店に電話しました。

今年(来年も含めて)可能な限りモノを増やさない節約生活

でも、忍耐生活ばかりではつまらない。
もう物は充足しているのでこれからは数は少なく良いものを
とはいえブランド品を買うわけじゃない。興味ないし
なるべくmade in japanを買おうというだけ

この冬は一点、職人の技術にお金を使うことにしました。
廣島つげ櫛店 廣島政夫さん アットコスメとかあちこちのブログを検索してもらったらわかると思うのですが、とにかくネット上での大絶賛の声がすごいんです。

一般的な櫛は歯を作るところまでは機械で仕上げが職人なのだとか
名工会で紹介されている全工程手挽きのつげ櫛職人は廣島さんと武蔵屋の富田さんのみということでしたが、富田さんはもう他界され、武蔵屋は閉店しました。
廣島さんは残っている最後の職人さんで、こちらも後継者はいないのでこの代でおわりだそうです。
しかも1cmに12本以上の極細歯を挽ける職人さんは、現在は廣島さん以外にはいないそうです。もう櫛の神様といっていいほどのお方です。
以前は名工会でも注文できましたが今はネットで注文できず、直接本人に電話して通販で購入。電話してお宅に伺って購入の2種類しか手立てがないらしい。
(多分委託に出さなくても十分すぎるほどの注文が来るのだと思う)

でも、電話って敷居が高い・・・
ネット上では
今忙しいからまた今度電話してとか(月末は忙しいみたい)、実際お伺いした方のみで通販はできないと断られた。商品を一つしか見せてもらえなくて欲しい櫛が買えなかった。という例も書かれていました。

頑固な職人さんにお電話で注文するなんてドキドキ
しかも価格は時価 聞いて高くなっていたらどうしよう・・・
決心するまでに悩んで悩んでとうとう電話しました。

電話に出られたのはご本人 話し方はあちこちのブログで紹介されているように気さくな感じです。
みなさんが口を揃えてお話し好きのとてもいい方というのもわかります。可能なら家を訪問したほうが良いと 
でも和歌山から埼玉は遠すぎる・・

電話の後ろは接客中なのか話し声がします。
クリスマス前なのでプレゼントの注文も多いのでしょう。
「櫛のことでお伺いしたいのですがいまお時間よろしいですか?」
と聞いたら
快く「どうぞ」と言って貰えてほっ

お値段を聞いたら、
「○○円になっちゃった。」
ネットで調べた今年の春の値段より上がってました。Σ(|||▽||| )

ここ3,4年で急上昇しているみたい。櫛一本と思うと高いが、材料費も上がっているわけだし 職人の一日の手間賃としては儲けてるとは言えない。昭和天皇に櫛を献上するほどの職人さんだもの。

それ以上にやっとの思いで電話したんだから考えますなんて言ってまたもんもんとした日々が続くのは嫌なので即譲っていただけますか?とお願いしました。
「えっ,送れってこと?」
ちょっと声がかわりました。
「そこまでいけないんです。和歌山なので・・・」
と言うとあっさり

「あ~、和歌山・・・来年になっちゃうかなぁ。」
(あっ、通販でも譲ってもらえるんだ)

「いいです。急ぎません、いくらでも待ちます。」

早く作ってあげたいなぁ。う~ん、28日着だとどう?」

えっ、来年って言ってたのにいいんですか?今は一日一本しか作らないと聞いていたのにお体大丈夫ですか?と思いつつ (確か79歳とご高齢のはず)
作ってあげたいなぁと言われたことが嬉しくて何度も頭の中でこだまします。

ご高齢ということで電話の聞き取りとか大丈夫かと心配していましたが、むしろテンパってる私のほうがやばい状態で、
廣島さんはしっかりと聞き取ってくれました。

焦り感がすごいのでありがとうございましたと電話を切ろうとするとこれで切られては困るという感じでお手入れについて話されました。

「お手入れは椿油をつけた布を付けるのでそれで拭いてね。あと掃除が大変だよ。歯が細かいからね。きちんと歯ブラシで汚れを取ってね。でないと大変なことになっちゃうから。」

(大変なことってなんだろう?それに櫛を油に漬け込むんじゃないんだ)

「糸に油を垂らしたので掃除してるのですけど、それではだめですか?」

「糸より歯ブラシがいいよ。」

(ちょっと上質の柔らかい歯ブラシを買ってこよう。)

再度ありがとうございました。と電話を切り
あっ、ひょうたんマーク頼むの忘れた!忘れないように電話のメモにひょうたんって書いてたのに!!
どれだけ早く電話を切ろうとしてるんだ私!!テンパりすぎ
もう櫛の神様とお話できたことで大興奮なんです。

あまりマークを入れたがらない人なので注文しないと入れてくれないとか
でももう電話をかけなおす勇気が・・・職人本人が入れたがらないというものを頼むのも気が引けるしあきらめよう。

今回注文したのは代表作の「夢の櫛」 1cmに13本の歯
今使っているのが1cmに5本の歯なので倍以上の歯 想像もできない繊細さです。
ネットで見る画像は恐ろしく美しいです。私の人生、いや髪生が後どれくらい残っているかわかりませんが一生ものの櫛です。
引き継ぐ人がいるなら2代、3代と使えるそう。
本物はどれほど素晴らしいのか楽しみです。また到着したらレポートしますね。

勝手に電話番号とか価格とか載せていいかわからないので注文の仕方を紹介しているブログはこちら
廣島さんについてや櫛のお手入れまで詳しく載ってます。このサイトがなかったら私も買えなかった。


もっとお手軽な薩摩つげの櫛をと思う人はここがおすすめ
辻忠  

どうも京都や鹿児島の有名店の櫛もこちらでおろしている気配があるし(ネット上でチラっと読んだだけで確証は無し)評判もいい
値段ももともとリーズナブルだが年末年始は福袋が出て5000円・7000円・10000円 B品だが一本は好みのが選べてあわせて3から4本入っているらしい。
(例年やってるから今年もするという保証はないけど)さつまぐげ櫛としては格安 入門編にはちょうどいい
時期的に近いし迷っていた。
上の櫛を3本も買えないので娘たちも欲しいと言うならそちらにしてもと思ったのだが
「100円のでいい。」とつれない返事
自分のだけなら自分が欲しいと思うものを買えばいいので上に決定しました。

メモ 
本つげというのはほとんどは外材でツゲとは全く関係のない木もあるそうです。(櫛留商店だけは国産も本つげと表記)
外材だと価格はダイソーの100円から3000円程度です。
国産はさつまつげと表記されています。数千円から数万円します。
国産の木は成長が遅いのでサイズが大きいほど材料が手に入りにくいので価格は跳ね上がります。